相場は「気」で動く
本間宗久とは何者か
江戸時代、世界初の先物市場があった。大坂・堂島米会所。そこで伝説となった一人の相場師がいる。本間宗久。彼が残した「ローソク足」と「酒田五法」は、300年後の現代においても世界中のトレーダーに使われ続けている。
世界初の先物市場に生きた男
1724年、出羽国(現・山形県)の豪商・本間家に生まれた宗久は、家業の米取引を通じて相場の世界に入った。当時の大坂・堂島米会所は、現物の米を担保に「将来の価格」を取引する世界初の先物市場だった。
宗久はこの市場で圧倒的な成績を残した。莫大な資産を築き、その名は江戸幕府にまで知れ渡った。「本間が売りに来ると相場が下がる」「本間が買えば上がる」と恐れられるほどの影響力を持った。
「相場は人の気で動く」
価格は結果にすぎない。本質は買いたい気持ちと売りたい気持ちのぶつかり合いだ。宗久はその「気」を読むことに人生を賭けた。
宗久が見ていた3つのもの
宗久の分析は3つの要素で構成されていた。
長いか短いか
勝っているのは誰か
三兵・三法
相場の「型」を読む
過熱か冷静か
迷いか確信か
特に重視したのが「地合い」だ。ローソク足や酒田五法はあくまでツール。その背後にある市場全体の「気」──過熱感・冷静さ・恐怖・熱狂──を読むことが最重要だと宗久は考えた。
ローソク足とは何か
現代の投資家なら誰もが知る「ローソク足チャート」。その原型を作ったのが宗久だとされている。1本のローソク足には4つの情報が詰まっている。
📌 ローソク足の4つの情報
始値(その時間帯の最初の価格)・高値(最も高い価格)・安値(最も低い価格)・終値(最後の価格)。この4つを一本の図で表現したのがローソク足だ。陽線(終値>始値)は買い優勢、陰線(終値<始値)は売り優勢を示す。
なお「宗久がローソク足を発明した」という説には諸説あり、後世の改良の積み重ねで現在の形に完成したとも言われる。しかし重要なのはそこではない。宗久が残したのは「価格の動きから人の心を読む技術」だ。
酒田五法──相場の「型」を読む
宗久が体系化した「酒田五法」は、ローソク足のパターンから相場の転換・継続を読む技術だ。300年後の現代でも、世界中のトレーダーが使い続けている。

※ 酒田五法はあくまで参考パターンです。必ずしも予測通りに動くわけではありません。他の指標・地合いと合わせて総合的に判断することが重要です。
宗久の投資哲学
宗久の哲学は現代の投資家にも深く刺さる言葉を残している。
- 欲を捨てよ──利益への執着が判断を狂わせる
- 相場に従え──自分の都合を相場に押しつけるな
- 無理に動くな──「休むも相場」という言葉を残した
- 地合いを読め──数字より空気を先に見よ
- 型を学べ──酒田五法という「型」で相場を読む
「休むも相場」
この言葉は宗久の哲学の核心だ。動くことより動かないことの価値を説いた。リバモアの「待つことがすべて」と同じ境地に、江戸時代の相場師が達していた。
3人のレジェンドの共通点
ギャン・リバモア・宗久。時代も国も手法も違う3人だが、驚くほど共通した思想を持っている。
| 哲学 | ギャン | リバモア | 本間宗久 |
|---|---|---|---|
| 待つこと | 条件が揃うまで動かない | 待つことがすべて | 休むも相場 |
| 自己規律 | 28のルールを守る | ルールを破ると負ける | 欲を捨てよ |
| 相場の本質 | 自然の法則で動く | 人間の感情で動く | 人の気で動く |
| 流れへの従順 | トレンドに逆らわない | 流れに従え | 相場に従え |
KABU気における本間宗久
KABU気では、宗久をこう定義する。
🌸 「地合いを読む者」
相場は常に動く。だが、その裏には「空気」がある。過熱感・冷静さ・恐怖・熱狂。宗久はその空気を誰よりも早く感じ取った。
毎日のレポートで宗久が問うのは「今の相場の空気はどうか?」だ。ローソク足のパターン・売買代金・季節感。この3つを組み合わせ、市場の地合いの強弱を読み解く。
相場は難しくない。
難しくしているのは人間だ。
景気は、気。
── 本間宗久の哲学より KABU気編集部
本記事は投資に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。掲載している分析・見解は将来の運用成果を保証するものではなく、投資には元本割れのリスクを含みます。実際の投資判断はご自身の責任において行ってください。本記事の情報に基づく投資判断の結果について、KABU気は一切の責任を負いかねます。