手取りが増えないなら、自分で増やせばいい|収入の柱を増やす

手取りが増えないなら、
自分で増やせばいい

もう、待っている場合じゃない。会社にも国にも期待しない、収入の作り方。

年収500万円と聞くと、毎月40万円以上を自由に使えるように感じるかもしれない。けれど、30代・独身・扶養なしを想定した2025年度の試算では、実際の手取りは年間約390万円。社会保険料と税金で、約110万円が最初から差し引かれている。しかも、厚生年金の本人負担率は2004年の6.79%から、2017年以降は9.15%で固定されたまま高止まりしている。

「頑張っても、手取りは増えない」という感覚は、気の持ちようでは説明できない。その怒りは、正しい。

ただ、変えられないものに怒り続けても、口座の残高は1円も増えない。変えられるのは、自分の収入の「作り方」だけだ。会社にも国にも期待しない。もう一つの収入源を、自分の手で作る。それだけの、地味だが現実的な話をしたい。

目次

「手取りが増えない」は勘違いじゃない

結論から言うと、厚生年金などの社会保険料負担が過去より重くなり、額面ほど手取りが増えにくい構造がある。

年収500万円

手取り約390万円
社会保険料と税で、年間約110万円が差し引かれる
2025年度制度・30代独身・扶養なしを前提とした2つの民間試算(鳥取銀行:鳥取県在住・賞与なし、オカネコ:都内勤務)では手取り約389万〜392万円。居住地や家族構成で変わる。

厚生年金保険料率は2004年の引き上げ開始前13.58%(本人負担6.79%)から、2004年から2017年までの約13年間で段階的に引き上げられ、2017年9月以降は18.3%(本人負担9.15%)で固定された。本人負担だけで2.36ポイント上がり、その後は高止まりしている。国全体で見ても、税と社会保険料の負担を示す「国民負担率」は、1990年度の38.4%(実績)から2026年度見通しでは45.7%まで、7.3ポイント上昇した。

📌 国民負担率は「天引き率」ではない
国民負担率は、企業が負担する社会保険料や法人税なども含む、社会全体の指標だ。「給与の45.7%が引かれる」という意味ではない。ただし、社会全体で負担が重くなってきたという方向性は、この数字からも読み取れる。

会社を責めても、政治に怒りをぶつけても、この構造は今日明日には変わらない。だとすれば、次に考えるべきは一つだ。労働収入という一本の柱だけに頼るのを、そろそろやめないか。

あなたが迷っている間に、もう動いている人がいる

結論から言うと、2022年時点で副業をしている人はすでに305万人。この5年で60万人増えた。

総務省の2022年就業構造基本調査によれば、非農林業従事者のうち副業がある人は304.9万人(丸めて305万人)で、2017年の245.1万人より59.8万人(丸めて60万人)増加。副業者比率も3.9%から4.8%へ上がった。まだ多数派ではないが、珍しい選択でもない。あなたの職場の誰かが、すでに始めているかもしれない。

副業の役割は、金額だけじゃない

本業の会社だけに依存するリスクを薄める。

自分のスキルに、社外でも値段がつくかを確かめる。

給料とは別に、投資へ回せるお金を作る。

「自分には特別なスキルがない」と思うかもしれない。だが、動いている人の多くも、最初から何か特別なものを持っていたわけではない。小さく試して、続けられるものを見つけただけだ。迷っている時間が長いほど、動き出した人との差は広がっていく。では、実際にどう始めればいいのか。

副業は、思っているより難しくない

結論から言うと、副業には大きく3つの型があり、どれか一つを小さく試すだけでいい。

1
時間を売る
短時間の勤務・代行など
収入化が比較的早い
2
技能を売る
執筆・制作・相談など
本業の経験を転用できる
3
仕組みを作る
コンテンツ・物販など
育つまで時間がかかる

正解はどれか一つではない。まずやってみて、自分に合うものを探すという発想でいい。実は、このKABU気というサイト自体も、筆者にとっての「技能を売る」副業の一つだ。投資の経験と、AIを使った編集・執筆という技能を組み合わせて、小さく形にしている。特別な才能から始まったわけではなく、まず一つ試してみたところから続いているだけだ。

最初は月1万円でもいい。年間なら12万円だ。高額な教材を先に買う必要も、借金して在庫を持つ必要もない。今ある経験を、初期費用をかけずに小さく試す。始める前に、勤務先の就業規則と届出の要否だけは確認しておこう。

📌 厚労省のモデル就業規則では「原則可能」、無条件ではない
厚生労働省のモデル就業規則では、労務提供への支障、秘密漏えい、会社の名誉・信用を損なう行為、競業による不利益などがあれば、会社が副業を禁止・制限できるとしている。まず自社のルールを読むところから始めよう。

始め方が見えたら、次はつまずきやすい税金の話を整理しよう。

税金の話は、実はこれだけ覚えればいい

結論から言うと、覚えることは「20万円ルールの前提条件」と「契約の確認」の2つだけでいい。

副業を始める前に身構えてしまう最大の理由が、税金だろう。だが、恐れているほど複雑ではない。よく言われる「20万円ルール」は、本業1か所から給与を受けて年末調整を受けており、給与収入が2,000万円以下の人が対象だ。この条件のもとで、業務委託など給与・退職所得以外の副業所得(売上ではなく、経費を引いた後の利益)が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は原則不要になる。副業がアルバイトなど別の勤務先からの給与である場合は判定方法が異なるため、注意したい。また、医療費控除などで別の理由から確定申告をするなら、20万円以下の副業所得もあわせて申告する必要がある。

所得税の確定申告が不要でも、住民税には同じ20万円以下の申告不要制度がない。所得税の確定申告をしない場合は、原則として住所地の自治体へ住民税の申告が必要になる(所得税の確定申告をした場合は、通常は別途の住民税申告は不要)。自治体ごとに扱いが異なる部分もあるため、詳細は住所地の自治体で確認したい。

📌 「時間を売る」型は、契約の実態にも注意したい
給与以外の所得にかかる住民税は、確定申告時に「自分で納付(普通徴収)」を選べる場合があるが、2026年度(令和8年度)以降の取扱いは自治体によって異なる。なお、雇用契約か業務委託かは、契約書の名称ではなく実際の働き方の実態で判断される。どちらの形で働くかは、住民税の通知先だけで選ぶのではなく、契約内容を確認したうえで、必要であれば住所地の自治体にも相談したい。

もう一つは、契約の確認だ。雇われて働くのか、業務委託として請け負うのかで、所得の区分も申告のしかたも変わる。始める前に契約書を確認し、入金と経費を記録しておく。この2つさえ押さえておけば、あとは金額が増えたときに税務署や自治体に確認すれば十分だ。

📌 制度の確認先
国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」/お住まいの自治体の住民税窓口

税金は、副業を諦める理由にはならない。稼いだお金を全部使わず、納税分を先によけておく。それだけの、小さな運用ルールだ。副業の売上が入ってきたときの扱い方を、次に整理したい。

KABU-KIX COLUMN ── 副業の売上を、そのまま積み立てない

副業で3万円売れたから、3万円を全部NISAへ。これは少し危ない。経費や税金を払えば、手元に残る金額は小さくなる。

売上が入ったら、まず経費を精算する。次に納税分をよける。残ったお金を「使う分」と「育てる分」に分ける。この順番なら、副業が続くほど投資も続きやすい。

── KABU-KIX

増えた分を、生活費に溶かさず育てる

結論から言うと、副業の手取りをそのまま積立へ回すだけで、前回記事のロードマップは前倒しできる。

前回記事「35歳・資産ゼロから1000万円へ」では、35歳・資産ゼロから1000万円を目指す道を、月3万円・5万円・7万円の3コースに分けた(いずれも、まず生活防衛資金108万円を確保してから積立を始める前提)。本業の家計だけで月3万円を積み立てる人と、そこに副業の手取りを月2万円・4万円上乗せできる人とでは、同じ35歳スタートでも到達年齢が大きく変わる。

シナリオ(35歳・資産0円/生活防衛資金108万円を先に確保) 本業家計から 副業の手取りから 毎月の積立 年率3%での到達年齢
月3万円コース(本業のみ) 月3万円 0円 月3万円 58歳3か月
月5万円コース(副業手取り2万円を上乗せ) 月3万円 月2万円 月5万円 50歳5か月
月7万円コース(副業手取り4万円を上乗せ) 月3万円 月4万円 月7万円 46歳7か月

前回記事「35歳・資産ゼロから1000万円へ」の3コース(月3万円・5万円・7万円)を、副業の上乗せ額に置き換えて比較したもの。3つは35歳開始時点からの別シナリオであり、同一人物が途中で増額した場合の到達年齢ではない(増額の場合は、増額した時期と、その時点の運用残高によって到達年齢が変わる)。運用成果を保証するものではありません。

もちろん、実際には多くの人が「まず本業だけで月3万円から始め、副業が軌道に乗ってから上乗せする」という順番をたどる。その場合の到達年齢は、上乗せを始めた時期によって変わるため、上の表とは別に考える必要がある。それでも、「副業の手取りを積立に回す」という選択そのものが、到達年齢を大きく前倒しする方向に働くことは、この3つのコースの差からも見て取れる。

これはあくまで一例の試算だが、副業を続けるうちに、本業の収入をいつの間にか超えていく人もいる。全員がそこまで届くわけではないし、目指す必要もない。それでも、「もしそうなったら」という夢があるのと、労働収入の一本足のまま何も変えないのとでは、5年後・10年後の景色がまるで違う。

STEP 1|副業収入が入る
売上ではなく、入金額と経費を記録する
STEP 2|守るお金をよける
必要経費、納税資金、生活防衛資金を先に確保する
STEP 3|残りを自動で育てる
NISAなどの積立へ回し、生活費口座と混ぜない

ここまでの話を、最後に一言でまとめたい。

まとめ:立ち止まるか、動くか

結論から言うと、完璧な準備はいらない。今月、収入の蛇口を一つ増やす準備をするだけでいい。

給料が増えにくい構造を知ることは、会社員を諦めることではない。会社や国のせいにする時間を、自分の収入を作る時間に変えることだ。就業規則を読む。自分が売れる時間か技能を一つ書き出す。初期費用をかけず、小さな仕事を一件試す。入金されたら記録し、納税分をよけ、残りを投資へ回す。

待っていても、給料は変わらない。
動けば、収入は変えられる。

── KABU気・景気は気

副業で毎月何万円も稼げなくてもいい。投資で高い利回りを狙わなくてもいい。労働収入だけだった家計に、別の入口と別の出口を作る。それが、手取りが増えにくい時代にも、自分の力で前へ進める現実的な一歩になる。

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本記事には一部アフィリエイトリンクを含みます(楽天証券/TGアフィリエイト)。本記事は情報提供を目的としており、特定の副業、金融商品・銘柄への投資を推奨するものではありません。年収別の手取り額は2025年度の制度をもとにした民間試算であり、居住地・年齢・扶養状況・賞与の有無等により実際の金額は異なります。副業の可否・届出・労働時間管理は勤務先の就業規則や契約によって異なります。税務に関する記述は一般的な制度説明であり、個別の税務相談に代わるものではありません。具体的な申告・納税は、住所地の自治体、税務署または税理士へご確認ください。前回記事「35歳・資産ゼロから1000万円へ」との接続シミュレーションは、35歳開始時点からの別シナリオを比較した試算であり、途中で積立額を増やした場合の到達年齢を示すものではなく、将来の運用成果を保証するものでもありません。掲載データは2026年7月時点の公開情報に基づくものであり、制度は変更される場合があります。投資には元本割れのリスクがあります。実際の判断はご自身の責任において行ってください。
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