瀬織津姫に出会った夏、そして一年越しのお礼参り
——三嶋大社・瀧川神社編
投資も仕事も振るわなかった2025年の夏。YouTubeで知った一柱の神様にすがって、三島へ向かった。一年後、そのご利益に感謝を伝えに、私は再びこの地を歩いた。
話は2025年8月上旬まで遡る。投資成績は振るわず、仕事の依頼もぱったりと途絶えていた。フリーランスというのは不思議なもので、依頼を多数抱えているときに限って次から次へと舞い込み、いったん途切れると本当にピタッと止まる。そんな悶々とした日々を過ごしながら、なんとなくYouTubeをザッピングしていたときのことだった。「瀬織津姫(せおりつひめ)」という神様には、滞った気を水で流し、金運を整える力があるらしい――そんな話を耳にして、居ても立っても居られず、三島にある瀧川神社へ行こうと思い立った。
ただ、三島といえばまず三嶋大社。まずはそちらにお参りしてから瀧川神社へ向かう、という旅程を組んだ。
①三嶋大社——百日祈願と「あきないえびす」(2025年編)
三嶋大社は、伊豆国一宮。大山祇命(おおやまつみのみこと)と積羽八重事代主神(つみはやえことしろぬしのかみ)の二柱を「三嶋大明神」として祀る、伊豆随一の古社だ。事代主神は俗にいう恵比須様で、商売繁盛・福徳円満の神として、古くから多くの信仰を集めてきた。


伊豆に流されていた源頼朝が、源氏再興を祈願してこの地に百日祈願をしたことでも知られる神社だ。神門の手前には、頼朝と妻・北条政子が休息を取ったと伝わる「腰掛石」、そして参道脇には、側近の安達藤九郎盛長が警護に立ったという「相生松」が残っている。境内の宝物館には、政子が奉納したと伝わる国宝「梅蒔絵手箱」の精巧な復元品も展示されている(実物は現在、東京国立博物館に寄託されているそうだ)。不遇の身から天下人へと駆け上がった頼朝が、その第一歩をこの場所から踏み出した――そう思うと、境内を歩く足取りも自然と変わってくる。

この日、私は「あきないえびす」という授与品をいただいた。恵比須様の姿絵と「金福神」の神札、そして鯛をかたどった御幣がセットになった、なんとも賑やかで縁起の良い授与品だ。持ち帰ってすぐ神棚に飾り、それから丸一年、この恵比須様に見守られながら仕事をすることになる。
実は三嶋大社の境内、西参道の鳥居のそばには「祓戸神社(はらえどじんじゃ)」があり、そこにも瀬織津姫神が祀られている。三島駅から歩いてくると、大鳥居をくぐる前に、まずこの祓戸神社の脇を通ることになる。今にして思えば、この旅はすでに瀬織津姫に導かれていたのかもしれない。
②瀧川神社——滝のしぶきとなって降り注ぐ気配(2025年編)
三嶋大社を後にし、向かった先が瀧川神社。三島市街地の北東、山あいの細い道の先にひっそりと鎮座する、小さな神社だ。源頼朝が三嶋大社に寄進した土地の中にあり、かつては三嶋大社の例大祭の前に、神官がこの滝で禊(みそぎ)をしていたという。御祭神は瀬織津姫神。「清流の神」として、古くから地元で信仰されてきた。


鳥居をくぐると、目の前に小さな滝が現れる。轟々と流れ落ちるような迫力はないけれど、心地よい滝の音が聞こえてくる。その音だけで浄化されていくのが感覚でわかる。しばらく滝の前で佇むと、木漏れ日の中を落ちてくる水の粒が、細かいミストとなって私の全体を包むように降り注ぐ。厳かで心地よい気配に身も心も静まっていく。奥には不動明王が見える。瀧川不動さまだ。しっかり手を合わせたくなる。そして川へ階段を降りていくと文字石がある。約1200年前の平安時代に弘法大師(空海)が訪れ、温泉(お湯)が出る目印として印をつけたと伝えられる大きな石だそうだ。この神社は理屈ではなく、ただ「清らかだ」としか言いようのない空気が流れ、大変気に入った。


実用情報:瀧川神社へはカーシェアかレンタカーを推奨
私はタクシーで向かったのだが、これは失敗だった。真夏の炎天下、帰りのタクシーを呼んでもなかなか来ず、近くのバス停を探して歩いたものの、これがかなり遠い。日陰もほとんどなく、正直かなり危険な暑さの中を歩く羽目になった。瀧川神社へ行くなら、絶対にカーシェアかレンタカーをおすすめする。
ご利益の実感
結果から言うと、この参拝から2ヶ月ほど経った頃、ぱったり途絶えていた仕事の依頼が新規で入るようになった。それまでの空白を取り返せるくらいの仕事量で、正直なところ、三嶋大社と瀧川神社、両方の力のおかげだと思っている。神棚の「あきないえびす」に見守られながら、この1年を過ごすことになった。
③三嶋大社——一年越しのお礼参り(2026年編)
そして今年、同じ夏に、私は再び三嶋大社を訪れた。1年間神棚に飾っていた「あきないえびす」への、お礼参りのためだ。ところが、去年とは境内の様子がまるで違っていた。国の重要文化財である御社殿が、大規模な改修工事の真っ最中で、建物全体が白いシートにすっぽりと覆われていたのだ。「令和の御大典記念事業」として、令和9年12月の竣工を目指しているとのことだった。

去年のように写真映えする風景ではなかったけれど、これはこれで一期一会。工事の様子を横目に、手を合わせ、この1年の感謝とお礼だけを伝えて境内を後にした。ふと見上げると、神門の下にはたくさんの風鈴が吊るされていて、涼やかな音を鳴らしていた。改修中でも、夏の空気はちゃんとそこにあった。

番外編:三島といえば、うなぎ
三島は名水の街としても知られ、富士山の伏流水で育ったうなぎが名物だ。去年訪れたのは「うなぎ 桜家」。ふわふわの身に、絶妙な塩梅のタレが絡んで、たいへん美味しかった。

今年も同じ店に、と思って向かったら、まさかの夏休み中。困った私はAIに「近くで地元の人が通うようなうなぎ屋はないか」と尋ねたところ、教えてくれたのが「うなぎ いけだ」だった。半信半疑で訪れてみると、これがまた美味しい。特にうなぎのひれ焼きが気に入って、お酒がどんどん進んでしまった。


KABU-KIX
次は、箱根へ
三嶋大社の駐車場でカーシェアの車を借り、そのまま箱根へ。箱根神社、そして九頭龍神社をめぐる「箱根三社参り」に向かうことにしたのだ。次回、その模様をお届けする。